栃木県足利市の中小企業を中心に、5S実践活動をしています。

  第2回 トヨタの現場管理・7つのムダ

筆者のムダ考の原点、「工数低減活動・7つのムダ」

ムダについて何から書こうかと迷ったが、ムダというものを初めて筆者が体系的に教わった、
「トヨタの現場管理」の7つのムダから入ることにした。

この言葉は、本誌の読者ならばほとんどの方が御存知だと思うので、ここであえて取り上げる
のは恐縮なのだが、仕事柄、さまざまな現場を歩いていると、意外にも知らない人が多いのは
驚くほどであり、また言葉は知っていても中身の説明になるとわからないという人も少なくな
いので、「初心忘るべからず」という気持ちを込めて、最初のテーマとしたい。

解釈を曲げないために、「トヨタの現場管理」からそのままに近い形で引用してみると、
7つのムダとは、

①つくりすぎのムダ
②手待ちのムダ
③運搬のムダ
④加工そのもののムダ
⑤在庫のムダ
⑥動作のムダ
⑦不良をつくるムダ
である。

さて、①の「つくりすぎのムダ」について、解説を続けて書き出してみる。どこの職場でも
最もよく見られるのが、仕事の進み過ぎである。本来、手待ちにならない時間なのに次の作業
をやってしまうので、手待ちが隠れてしまう。これを繰り返したあげく、ラインの後や中間に
在庫がたまってしまう。この在庫を移動させたり、きちんと積み替えたりという、”仕事(?)”
が発生してくると、ますますムダが見分けにくくなる。

このような現象を、トヨタ生産方式では「つくりすぎのムダ」といい、数あるムダの中で、
最もやってはいけないムダであると考える。「つくりすぎのムダ」は、その他のムダを隠して
しまうという意味で、他のムダとはまったく異なる。他のムダは改善に手がかりを与えてくれ
るが、「つくりすぎのムダ」はこれをおおい隠して、改善を阻害するからである。

したがって、工数低減活動を進める第一歩は、「つくりすぎのムダ」をなくすことである。
すなわち、ラインを整備し、つくりすぎができないようなルールや、整備上の制約を設けること
である。これができて初めて、モノの流れは本来の姿に戻る。必要なモノが、必要なときに、
1つずつできるようになり、ムダは手待ちとして明らかになってくる。
ラインがこのような状態になれば、ムダを省く→作業配分→人を減らす、という活動が容易に
なってくるのである。

次に、②の「手待ちのムダ」とは、機械が自動的に加工しているときに、ただ機械のそばに
立って機械の番人をしているとか、仕事をしたくとも機械が回っていて手が出せないために
生ずるムダのことである。また、前工程から部品が届かずに作業ができない場合も当然手待ち
のムダが発生する。

③の「運搬のムダ」とは、必要以上の運搬距離、または一時的な仮置きや積み替えや移動の
ために生ずるムダのことである。1つ例を挙げれば、従来は部品を大きなパレットから小さな
パレットへ移し替え、さらに機械の上にと何度も仮置きをして加工を行っていたが、パレット
の改善により、これらの仮置きを排除し、1人の作業者が2台の機械を操作することができる
ようにするなどである。また、倉庫から工場へ、工場から機械側へ、そして機械側から作業者
の手元へ積み替えや移動がくり返されているのも、運搬のムダといってよい。

④の「加工そのもののムダ」とは、例えば治具のガイドピンが不備なため、治具を左手で支えて
作業をしなければならず、そのために品物の加工がスムーズにいかず、ムダな時間を費やして
いることなどである。

⑤の「在庫のムダ」、⑥「動作のムダ」、⑦「不良をつくるムダ」については、説明を要しない
だろう。

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