鑁阿寺多宝塔と大イチョウ

足利流5Sは、5Sの街づくりの取り組みを着手して以来ずっと、簡潔な2つの骨子を柱としています。繰り返しになりますが
1.「働く人たちのために」、2「真理を追究する」です。
そこで、足利流5Sによる5Sの街づくり_(1)に続き、今回は足利流5Sを実践する上では欠かせない、足利流5Sの特徴としての10カ条を述べてみたいと思います。5Sという言葉の上ではどんな5Sも同じものですが、本質を追究している足利5Sではとてもユニークな5S活動を展開しています。簡潔に一言でいうならば「余計なことをしない」でしようか。おそらく日本中の5S活動では見ることのない特異なものとして映るかも知れませんが、働く人に焦点を当てて、且つ、真理を追い求めた結果の自然の流れです。みなさまに少しでも興味を持っていただき、見方、考え方の整理整頓になるものとして受け取っていただけたら幸いです。

Ⅱ.足利流5Sの特徴

  1. 現場主義
    真実はすべて現場に現れます。真実の追求の足利5Sには現場は絶対に欠かせない対象です。
  2. 5Sでは期限を切らない
    仕事にはお客様と約束した納期は厳守ですが、社内で展開する5Sは納期が遅れても問題とならない筈です。待ったなしの仕事があるのに待ったなしの5Sが要求されれば、いずれも中途半端になります。仕事あっての5Sです。また、アイデアの内容を追求すればするほど時間が必要となります。忘れたころに120%となって返ってくる5Sも期待できます。この裏にはマン・パワーという力が働いています。
  3. 不要な資料は作らない
    作成した資料が使われなかったというご経験はありませんか。資料が全く使われないという割合も結構高いものです。一瞥して終わるもの、パフォーマンスだけのもの、などがほとんどです。その分5Sの実践に時間をかけた方が得策です。書籍『トヨタの現場管理』(日本能率協会編・日本能率協会マネージメントセンター発行)の中でも資料・紙量・死量として不要な資料が辛辣に取り上げられています。
  4. 実態を表せない採点をしない
    今の世の中は数値至上主義です。目標管理で数値目標を立てて目標必達となります。でも実践の中では数値化できないものが圧倒的に多いものです。モチベーション、コミュニケーション、イノベーションだけ取り上げてもみても数値化となるとため息がでます。特に中小零細企業にあっては評価もできない数値化よりも現物・現状を変えていくことの方が確実です。また、数値化できないものの数値化は嘘の数値となり、嘘の経営に直結しかねません。
  5. 指摘ではなくヒント
    今の時代はISO規格でも他の改善活動でもすべて上から目線の指摘です。これではやらせやらされの構図を作り上げます。特に社員の自主性を強く阻害してしまいます。そのため足利5Sでは指摘ではなくヒントを心がけています。
  6. 他人事ではなく自分事
    足利5S学校では5Sインストラクター養成研修を行っていますが、まず、働くとは…この自分事への大切さを認識してもらいます。サラリーマンになるとどうしても受け身の仕事になります。自分が起業して自分で食い扶持を稼ぐとしたら…これが仕事の原点です。
  7. 整理⇒清掃(初期清掃→点検清掃→保全清掃)⇒[整列]⇒整頓の順序
    真実を見るためにも、整理⇒清掃⇒整頓の順序に足利の5Sはこだわっています。一般的な書物(整理・整頓・清掃)とは順序が異なります。普段当たり前と思っているものでもよく吟味するとそうでないものがあります。この姿勢が本物志向を作ります。
  8. 本質は3S
    5Sの本質は3Sだと思います。一途に3Sに取り組むことによって清潔もしつけも得られる場合が多いようです。加えて言うと1番目の整理が最も大事だと思います。また、4年ほど前に山上智恵子さんのEM清掃を知り、清掃によってやったつもりの整理のやり直しができることを実感しました。この清掃も侮れません。整頓は整理・清掃ができればより簡単に手掛けられると実感しています。
  9. 間違いを許す…(安全・品質は慎重に)
    歴史などを見ると、人類の成長はトライ&エラーの連続だったと実感できます。エラーがあってそれを克服することによって次の時代ができてきました。目の前の仕事も、蹴つまずきながら、頭をぶつけながら変化してきた筈です。このようなことを直視して間違ってもやってみることを推奨しています。そうは言っても、事業体の屋台骨を崩しかねない安全と品質には慎重に…と訴えています。
  10. 5Sに関してはオープンに…相互工場見学会、市外からの受け入れ
    足利の5Sは、多くの方の賛同で、他の市町村や企業、コンサルタントの方にまでオープンです。アイデアを盗まれたらより以上のことに挑戦すれば良いということですが、自分の所へ返って来ることの方が多いようです。ただし、これは5Sに限って…です。

これまで、足利の多くの皆さんの熱意で、10年以上に渡ってユニークな5S活動を展開することが出来ました。そして街づくりのレベルアップの要望は年々高まっています。有り難いことですが、今まで、牛歩でもよいからやれることを確実にやるという姿勢でやって来ました。これからも同じです。ところで、足利の5Sの街づくりは、働く人たちが目の前のことを他人事から自分事に変えて考働することで変化が起きます。その考働の姿勢を見て周りが動き出して集団が形成されます。そして、ベクトルを合わせて集団で考働すれば凡事徹底の積み上げだけでも、事業体は難しいことにも挑戦できるようになってきます。このように見てくると、5Sは事業体に欠かせない人財育成のトレーニングでもあるのです。最後にあくまで地に足の着いた活動をということで、改めて足利5Sの原点に立ちながら、パフォーマンスに走らない地道な活動に努め、くれぐれも5Sが目標にならないように気をつけたいと思います。