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雪景色

時々、ドラッカー博士の本を読み返しているが、いつ見ても新鮮で、つい忘れかけていた真摯さを改めて思いおこさせてくれる。5Sと何が関係あるの?と思う方もいるかもしれないが、ドラッカー博士の著書は、真摯さを始め、人間の生き方を克明におしえてくれる。単純な内容の5つのSの塊である5Sもまた、多くの企業活動の規範を教えてくれるので、私にとっては生き方そのものとなっている。5S活動を推進しながら、ドラッカー博士の著書を思い出しては読み返しているが、その度に過去の思いを思い出させてくれるだけではなく、常に新しい発見をさせてくれる。今回もそのようなことから、「現代の経営」の中の「凡人を非凡にする」という所に目が留まったので、自分の思考の反芻の意味でここに取り上げてみた。

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カワセミ

凡人を非凡にする
2つの言葉が「組織の文化」を要約する。その1つはアンドリュー・カーネギーの墓碑銘である。「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」。もう1つは、身体障害雇用促進キャンペーンのスローガンである。「重要なことは、できないことではなく、できることである」自己管理による目標管理は、何をなすべきかを教える。適切に仕事を組織するならば、誰でもそのなすべきことをなしうるようになる。しかし、それを実際になさしめるものは組織の文化である

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アトリ

経営管理者を動機づけ、彼らの献身と力を引き出すもの、彼らが最善を尽くすか適当にこなすだけに終わるかを決定するものは、組織の文化である。ベヴァリッジ卿の言葉、「凡人をして非凡なことをなさしめる」ことが組織の目的である。いかなる組織といえども、天才に頼ることはできない。天才は稀であり、手にいれられるかどうかは分からない。したがって組織の良否は、人の強みを引き出して能力以上の力を発揮させ、並みの人に優れたことができるようにするかどうかにかかっている。同時に、人の弱みを意味のないものにすることができるかにかかっている。
優れた組織の文化は人の卓越性を発揮させる。卓越性を見出したならば、それを認め、助け、報いる。そして、他の人の仕事に貢献するよう導く。したがって優れた文化は、人の強み、すなわちできないことではなく、できることに焦点を合わせる
そして組織全体の能力と仕事ぶりの絶えざる向上をもたらす。優れた組織の文化は、昨日の優れた仕事を今日の当然の仕事に、昨日の卓越した仕事を今日の並みの仕事に変える。

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オオマシコ

つまるところ、組織の文化とは、仲良くやっていくことではない。大切なことは、仲のよさではなく、仕事ぶりのよさである。そもそも、仕事から得られる満足や、仕事上の関係から得られる調和に基づかない人間関係は、うまくいっているように見えても貧しい関係であって、組織の文化を腐らせる。そのようなものは人を成長させず、単に順応させ萎縮させる。ある大学の学長が言った言葉を忘れることができない。
「私の仕事は、一流の教授が学生を教えられるようにすることである。彼らが同僚や私とうまくやれるかは関係ない。優秀な教授で、人とうまくやれる者はあまりいない。困った教授も多い。しかし、彼らは学生を教えている」この学校の後任がこのような考え方をやめ、「平和と強調」を重視する方針をとるようになって以降、その大学の仕事ぶりは低下し、教授陣の文化も堕落した。

卓越した者のできる強みが他の者の脅威となり、その仕事ぶりが他の者にとって問題や不安や障害となるほど、組織にとって深刻な事態はない。人の強みではなく弱みに焦点を合わせ、できることではなくできないことを中心に組織をつくるほど、組織の文化を破壊することはない。焦点は、常に、強みに焦点を合わせなければならない

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ナナカマド

5Sはできるもの・ことを確実に実践することを、留まることなく繰り返す活動である。その実践を続けて行くとやがて、出来ないと諦めていたこともできるようになって来る。凡人が小さな成功体験を通して非凡なことにまで到達することを経験し、さらにその上へ…と意識が次々に高揚して行くようにもなる。周囲の人や、その職場に接する人にもその活動は見え、その気さえあれば何が起こったのかを理解することが可能であり、コミュニケーションが良くなり、仕事ぶりが良くなるだけではなく、人同士が仲良くなることも多々ある。さらに、仕事そのものからの満足、人間関係の気まずさからの解放なども得られるようになる。つまり、この活動は、安全や品質、生産性の改善のみならず、企業文化というか風土まで変えることが期待できる。このことから、適切に仕事を組織するならば、誰でもそのなすべきことをなしうるようになる…という言葉が思い起こされる。激しい社会の変化の中にあって、つい大事な風土・文化づくりから目がそれた企業は、是非、参考にしていただきたいものである。5S…捨てたものではないですよ。