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チョウゲンボウ①

1980年代半ばに真剣に読んだ、ドラッカー博士の著書の中の「マネジメント・フロンティア」の31章に、イノベーションのための経営というのがあります。イノベーションとは、顧客にとっての新しい価値や満足の創造にほかならないからであるとか、イノベーションは単に、製品や技術の改良を行うようなことはしない。新しい事業を狙う…等々、イノベーションについて、その何たるかを分かりやすく教えてくれます。そして、その最後のまとめとして、5Sもそうですが、仕事に対する姿勢にも通用する心構えが書いてありますので、今回はその文章を取り上げてみます。

・・・しかし、イノベーションに優れた企業は、イノベーションのための活動を厳しく管理する創造性などという言葉を口にすることは決してない創造性とは、イノベーションを行わない者が使う中身のない言葉であるそしてもし、あるアイデアが続けて二度、三度と目標を達成できない場合には、「努力を倍加しよう」などとは言わずに、「何か別のものを手がけるべきではないか」と問う。

さらにその企業は、古いもの、陳腐化したもの、もはや生産的でないものを組織的に廃棄する仕組みをつくっている。「品質さえよければ馬車用むちの市場はいつまでもあるはずだ」などとはけっして考えない。人間のつくったものはみな、遅かれ早かれ、通常は早いうちに陳腐化してしまうことを知っている。

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チョウゲンボウ②

そして競争相手に陳腐化させられるのを待たずに、自ら陳腐化させ廃棄してしまうことを選ぶ。したがってそれらの企業は、ほぼ3年ごとに、そのすべての製品、工程、技術、サービス、市場を死刑にかける。「今知っていることを知っていても、この製品やサービスを手掛けるだろうか」と問い、その答えがノーであるならば、「どうするか検討しよう」とは言わずに、「どう手を引くべきか」と問う
これに対する一つの答えは、私が20年前「キャッシュ・カウ(Cash cow)」と名付けたものであって、新たな努力はいっさいやめて、製品やサービスが利益を生む間だけ、その事業を維持していくことである。
もう一つの答えは、日本で秀でているものであるが、古い技術や製品が、まだ競走上の優位に立てるような新しい使い方や、市場を見つけることである。そしてもう一つの答えが、廃棄してしまうことである。むだなことにこだわっていてはならない。すでに陳腐化したものの計画的な廃棄こそ、組織体が自らの人材のビジョンとエネルギーを、イノベーションに集中させる唯一確かな方法である

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チョウゲンボウ③

今日われわれは、明らかに、現在生きている人たちの記憶にあるいかなる時代よりも、イノベーションの必要と機会の大きな時代にある。今は、第一次世界大戦に先立つ50年間、すなわち新しい産業の誕生に結びつくような技術的あるいは社会的な発明がほぼ1年半に一つの割りあいで生まれていた頃に匹敵する時代である。
電気通信、マイクロプロセッサーによる生産工程のオートメ化、オフィス・オートメーション、金融、医療、生物遺伝学、生物工学、生物物理学などは、変化とイノベーションが、すでに急速に進行している分野の若干の例にすぎない。もちろんこのような環境で生き残るためには、厳しい不況の中にあっても、巨額の資金を捻出して研究開発を増強していかなければならない。

しかし、何よりも必要とされることは、イノベーションのための組織としての姿勢であり、方針であり、実践である。

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チョウゲンボウ④

5Sは、常に企業の中で何が陳腐化しているか、を問う活動に相当します。そして、本気で5Sに取り組む企業は、「5Sをやっています」などと大きな看板など掲げません。じっくりと真剣に、陳腐化したものの廃棄を(常に)計画的に真剣に行うだけです。31章のような文章が、ドラッカー博士の本には至るところに散りばめられています。因みに32章では、以前に取り上げている「ゼロ成長企業における経営の心得」が掲載されています。