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般若寺 多宝塔

以下、NHKテキスト 植木正俊著の100分de名著から抜粋

法華経は、原典の21章に対して、サンスクリット原典では二十七章、鳩摩羅什訳の法華経では28章から成っています。下文の中の、ダ~ラニー、薬の王の、明瞭で流暢に、あらゆる方向に顔を向けた、美しく荘厳された王、普く祝福されている人、の6章は法華経の原型にはなく、後になって他から取り入れられたのだろうということです。また、サンスクリットで第二十七章になっている付属は、漢詩では嘱類品二十二となっています。原型では属類品二十二で終わっていたようですが、その後、経典の最後にあるものとしてサンスクリット訳では、後に追加された6つの後ろに移されたのであろうと「100分で名著」では推察しています。では、以下に漢訳の法華経の28章とサンスクリット原典の27章を比較したものを転記してみます。

教説場所  サンスクリット原典(ケルン・南条訳)      漢(鳩摩羅什)訳

霊鷲山  第一章 序                  序品第一
…………. 第二章 巧みなる方便             方便品第二
…………. 第三章 譬喩                 譬喩品第三
…………. 第四章 信順の志               信解品第四
…………. 第五章 薬草                 薬草喩品第五
…………. 第六章 予言                 授記品第六
…………. 第七章 過去との結びつき           化城喩品第七
…………. 第八章 5百人の男性出家者たちへの予言    五百弟子受記品第八
…………. 第九章 アーナンダとルーフラ そのほか2千人の男性出家者への予言
…………………………………………………………………. 授学無学人記品第九
…………. 第十章 説法者                法師品第十
虚空         第十一章 ストゥーパの出現            宝塔品第十一
………….     〃    ストゥーパの出現ー続き         提婆達多品第十二
…………. 第十二章 果敢なる努力            勧持品第十三
…………. 第十三章 安楽の住所             安楽行品第十四
…………. 第十四章 大地の裂け目からの菩薩の出現    従地湧出品第十五
…………. 第十五章 如来の寿命の長さ          如来寿量品第十六
…………. 第十六章 福徳の分別             分別功徳品第十七
…………. 第十七章 喜んで受け入れることの福徳の表明  随喜功徳品第十八
…………. 第十八章 説法者に対する賛嘆         法師功徳品第十九
…………. 第十九章 常に軽んじない           常不軽菩薩品第二十
…………. 第二十章 如来の神力の顕現          如来神力品第二十一
…………. 第二十一章 ダーラニー            陀羅尼品第二十六
…………. 第二十二章 薬の王との過去との結びつき    薬王菩薩本第二十三
…………. 第二十三章 明瞭で流暢に話す声を持つもの   妙音菩薩品第二十四
…………. 第二十四章 あらゆる方向に目を向けたもの   観世音菩薩不問品第二五
…………. 第二十五章 美しく荘厳された王の過去との   妙荘厳王本字品第二七
…………. 第二十六章 普く祝福されている人による鼓舞  普賢菩薩勧発品第二八
霊鷲山    第二十七章 付属               嘱類品第二十二

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合歓

それでは簡単に各章の特徴のみを拾って行きます。
まず「序品」では、釈尊亡くなった後の第一回仏典結集への参列者の名前が、4ページ半にわたって長々と列挙されます。これはおそらく、「法華経」があらゆる人の成仏を説く経典であることの象徴として、あらゆる階層の人々を列挙したからだろうと思われます。参列者の羅列が終わると6つの瑞相(めでたいことが起こる前兆)が出現します。まずは、釈尊が法華経を説いたという説法瑞、そしてまだ早かったといわんばかりに釈迦は瞑想三昧に入ってしまいます。これは入定瑞です。

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沙羅

それから雨華瑞(曼陀羅華などの花が天から降ってくる)、地動瑞(大地が震動する)、衆喜瑞(全ての人々が大いなる歓喜を得る)、放光瑞(釈尊の眉間の巻き毛の塊・白毫から光が放たれる)が起こりました。ここには様々な仏道修行をする人たちがいて、その様々な様子がうかびあがります。このことは法華経を語るに当たって、仏教界の現状はこうですよ、というものを改めて示したことを意味しています。

 

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浄瑠璃寺から岩船寺への道

 

この6つの驚くべき瑞相を見て、参列者はみんな驚きました。こんなことは見たこともないとざわつきました。…この後、文殊師利菩薩と弥勒菩薩とのやり取りがあって…釈尊が説こうとしている「法華経」の教えを聞く心構えが参列者の間に出来上がりました。釈尊が瞑想に入っている間に、弟子たちが自らその心構えを作り上げたところがポイントです。
長くなりましたので、第二章方便品第二以後は次回に回します。