5S便り

株式会社 深井製作所

時々、5Sの歴史の話が話題になるが、いつも誰に聞いても良くわからないということになる。ネットを調べてみたが、確かなことは分からないというのが本当の所らしい。が、いつも気になっているので分からなければ分からないなりに経過を知っておきたいのが人情である、ということで少し調べてみた。ネットの中では、分からないなりに色々なことが書いてあるが、その色々なことを省略して分かったことを以下に記してみたい。中味については各人でネットをご覧になっていただければ幸いである。
5Sの誕生
●トヨタ生産方式で言われだしたとか、能率協会が言い出したとか諸説ある。…アンサイクロペディア
●昭和30年代に「ジャスト・イン・タイム」を検討している中から出てきているらしい…ナビゲートから
●「IE Industrial Enginerring」の先駆者で、日本能率協会の新郷重夫先生がトヨタを指導したころに使われたのではないか…ナビゲートから

他にも幾つか調べてみたが、トヨタ、日本能率協会からという話の他には具体的なものはみつからなかった。どちらにしても、昔から整理・整頓はワンフレーズで存在し、他に清掃、躾も個別に存在していたということになる。それが、整理・整頓と清掃がまずくっつき、それを推進する精神的裏付けが欲しいということで清潔(整理・整頓・清掃を維持すること)が一緒になったのが順序のようである。さらに、それよりも重要だと言われている躾がその4つに付加された…という所らしい。上記に昭和30年代の年号が出て来ているので、この5つの結合も昭和40年代に入る頃には形になって5Sと呼ばれていたと推察できる。ナビゲートでは、5Sという言葉が比較的一般的になったのは1980年代後半だと推察されている。
5Sもどきの活動
経営論集第16巻第1号高木裕宣氏によれば、工場における「整理・整頓」を勧める言質は大正期から見られるという。理由としては明治期末から大正期にかけて、紡績業を中心とした軽工業から、鉄鋼、造船、機械などの重工業化が始まったことや、従来の産業においても大規模化が始まり、ある種の工場生産の近代化が必要とされたことなどが考えられると言う。それに伴い欧米から日本に科学的管理法などの手法が導入され、欧米の範に倣うべく清潔で能率的な工場にするべく「模範工場」として「整頓」も推奨されていると紹介されているとある。ドイツやイギリスを例に挙げ、鐘淵紡績会社、倉敷紡績、郡是製糸場が整頓された模範工場として推奨されている。引き続き、同時代に八幡製鉄を範とした北九州工業地帯の「清潔」「整頓」活動が紹介されている。そして引き続いて川口の鋳物工場の例を引き、「清潔」の中には整頓のみならず「清掃」から始まって「整頓」による効果も強調されていると紹介し、さらにいらないモノを捨てる「整理」の内容が含まれているとも述べられている。
表裏一体の安全活動
また、安全第一という言葉は、1906年にUSスチール社が、それまでの「品質第一、生産第二、安全第三」を従業員の人道主義的な見地から「安全第一、品質第二、生産第三」としたことから端を発しているとされる、とある。整理・整頓を実施するには現在では、作業場での通路の確保による安全の確保」や「作業表示の徹底による安全の確保」が可能とされるので、この事実も5Sの歴史の中の1ページであろうかと思われる。因みに日本では、1919年の「安全週間」を転機として工場のみならず社会一般にも「安全第一」が広まっていくことになる、とある。

5Sとは、日本人が古来から持ち合わせていた資質?5S便り

旧家の蔵などを見ていると、この役目はジャスト・イン・シーズンだと気づかされる。季節が過ぎればそれまでの季節のものは蔵に納められ、次の季節のものが取り出された。家屋は時には結婚式場になったり、時々の大小の寄り合い所などになった。部屋はふすまや障子でフレキシブルに変えられ、普段からスリムになっていた調度品もそれに準じた。そのためには、整理整頓が普段から徹底されていたものと判断できる。そして、清掃も然り、であろう。老舗の旅館などをみれば手鏡で鏡台の裏まで確認される光景が時代劇などで映し出される。また、大工さんは一日の仕事終いにカンナの刃を研ぎ、のこぎりの目立てをして明日に備える。これも整理整頓の世界そのものであろう。
5S便り

蕎麦処 一茶庵

○○道と呼ばれる稽古事では、基礎的なことを飽くなきまで続けてしつけを身につける。これらには、5Sという言葉はなくても整理・整頓・清掃・清潔・しつけの世界そのものであろう。5Sがいつ頃からあったのか…定かではないが、田や畑が耕されて蓄積が始まった頃からすでにあったのであろうか。他国の人のことは知らないが、日本人は日常の作業や道具の追及には特に熱心なような気がする。そこに整理・整頓・清掃・清潔、そしてしつけが伴うのは当然のようにさえ感じられる。併せて5Sは凄い発見だと思うが、何百年もの間、別々に追及されて来たものが、昭和30年代になって必然的に5つのものに絞り込まれて且つ関連づけられたものではないかと勝手に思っている。整理から清潔まではモノが対象なのに対して、特にしつけは人が対象となる。だから最も重要であるという方は多いのだが、人ゆえに最も難しいものでもある。でもまあバランスよく組み合わされたものだと思う。しかも1番重要で難しいものがちゃんと5番目に配置されているとは…。因みに足利5Sでは整理・清掃・整頓の順序にしている。最初の整理の時に初期清掃が伴うのがその理由である。余計なことのようだが、この順序も進め方としては大事なので念のために申し添えておきたい。