IMG_1243

足利学校入口左手にある孔子像

さて、足利学校では550年ほど前から約400年間、中国学を教えていたとのことです。●山註●四書●六経●列●荘●老●史記●文選というものです。教えるというよりも、現代では国宝級になっている本を揃えて、その中味を足利学校に来て学びとって行くというスタイルだったようです。この四書(「大学」「中庸」「論語」「孟子」)の中に論語があって最もポピュラーになっているので、筆者でさえもその論語という言葉くらいは知っているということになります。
ところで、全く中味が分からないのに、雰囲気で足利5S学校の名前を使わせていただく事になり恐縮しております。

足利学校方丈の間

恐縮ついでに昨年、「5Sと論語の街●足利 論語抄」という万年日めくりカレンダーの中の31ケの5S訳を担当させていただきました。渋沢栄一翁を始め、多くの経済人に読み継がれている論語だけあって、5Sにも良く合うので驚いています。今回は、気ままに5編ほど紹介させていただき足利学校に敬意を表したいと思います。なお、この論語抄は足利商工会議所で900円で販売しております。興味のある方は求めてみて下さい。
一方で、足利学校には、大名クラスの軍師候補(山本勘助や天海僧正)や中国大使候補…こちらは九州から…が、学びに来ていたとの事です。大きな歴史のロマンを感じさせる話で、ますます足利5S学校などと大それた事を企んだことに恐縮するばかりです。では、論語の足利流5S訳を5つほど取り上げてみます。

5Sの精神で読み取る論語抄

1.子曰く、巧言令色、鮮きかな仁 しいわく、こうげんれいしょく、すくなきかなじん
孔子が言った。たくみに言葉を飾ったり、たくみに顔色をとりつくろったりする人物には、ほとんど仁(人間愛)の道はないと言ってよい。(須長美知夫先生訳)

本物をめざす。口先だけのもの、形だけのもの、取り繕ったものはやがてメッキ が剥がれる。正直
に真剣に本物志向の姿勢が良い人間関係・仕事の成果をもたらす。(木村温彦訳)

2.子曰く、故きを温ねて新しきを知らば、以て師為るべし しいわく、ふるきをたずねてあたらしきをしらば、もってしたるべし
孔子が言った。過去のことを考え究め、それを取捨し、選択したものをもとにして、現在及び未来のことを考える。そうした考え方をする人は、他の模範となり得る人である。(伝統にばかりこだわると頑固にすぎる。過去を否定し、新しいことばかりにこだわると、時流に流される。)
改革・改革と勇ましいのは少々怖い。人間の歴史は栄枯盛衰の繰り返しであり、そこには変えてはいけないこと、変えなければならないことへの教訓がある。学べば嘘・本物がわかってくる。

3.子曰く、君子は器ならず しいわく、くんしはきならず

IMG_0765

宥座之器  慢心や無理を戒めている

孔子が言った。器(うつわ)はすべて、ある目的のための専用につくられるもの。しかし、学徳ともにすぐれた君子と言われる人物は、ある1つだけの専門であってはならない。
激動・変化の時代である。古い器の中だけでは変化できない。ハゥトゥだけでも後追いになる。自分で考えて、意思決定を心がける。特に管理監督者、さらには現場にまでこの”器ならず”
のフレキシブル性が浸透していれば申し分ない。

4.子曰く、徳は孤ならず、必ず隣あり しいわく、とくはこならず、かならずとなりあり
孔子が言った。人格者は一人ぼっちではない。必ずその人格にひかれ、それを仰ぎ、それに共鳴する人がいるものである。
5Sを誰がやらなくても、まず、一人でも実践してみる。きっと一人、二人と協力者が現れる。それが正しければ、やがて、全体に広がる。いつでも誰かが見ています

5.子曰く、之れを知るものは之れを好む者に如かず、之れを好む者は之れを楽しむ者に如かず しいわく、これをしるものはこれをこのむものにしかず、これをたのしむものはこれをたのしむものにしかず
孔子が言った。ある物事について、それを単に知っている者は、それを好む者にはおよばない。しかし、それを好む者だって、その物事について楽しむ者には及ばないのだ。
足利の5Sの本質は楽しく…である。楽しいことは時間も忘れる。楽しい事は自らが進んで手がける。楽しいとコミュニケーションが生まれる。だから自然と結果がでる。