人材育成という言葉IMG_1543は、多くの方を奮い立たせる耳に心地よい言葉です。日本に大事なのは…、わが社に最も必要なのは…というようなテーマに対して、おそらく人材育成という言葉が最も多く語られているのは間違いなさそうです。でも、でもなのです。では、どういうことを育成したいのですか、どういうやり方でそれを進めるのですか…ということになると、ほとんどの方が詰まってしまいます。一方で、即座に答えられる多くの方においては、しつけなどの精神論を述べるのでこれも心配の種です。
足利学校で教えていた、日本人の思考の根っこになっている論語になると少し具体的になって来ますが、少なからぬ人は論語でさえも前出の精神論のしつけと重なる方も多いようです。人材育成、時には人財育成と書く方もいらっしゃいますが、もっと何を目指すのか、そうであれば言葉だけでなく具体的に、教育の対象となる人にそれをどのように身に着けさせるのかが必要なのではないでしょうか。
足利5S学校では、そのような具体的にという観点から、”考働する人(集団)”を目指しています。そしてセミナーの中ではそれを得るためのカリキュラムを随所に用意しています。例えば、ハゥトゥものを机上で教えることは避けて、考えて考えて解を出したり、わからなくてもやってみてその中から解を得て行くというような考え方・やり方を教えます。また、なぜなぜ問答などは考えるための手法そのものなので、目の前のことで即座になぜなぜを繰り返してこのトレーニングをやってみたりします。考えて考えて…その結果をそのままにすることなしに実践に結びつける…この姿勢を養成することを目的にしています。
今の社会はハゥトゥものをすぐ欲しがるという傾向にあります。だからそれと同じハゥトゥの内容のものは出来るけれども、少し応用が入るとからっきしダメという事になります。学校教育の、”問題と答え”だけの世界が社会に出た後も引き継がれて、その姿勢がそのままその状況を作り出しているのかななどとも考えられなくはありません。
ところで、学校のテストでの数学の問に対する答えは1+1=2です。それ以外の答えはテストの評価では100%近くがバツです。社会に出るとその答えは3にも1にもなり得ます。状況によってはマイナスになったり、ゼロのままとどめ置くのが可ということもあります。それには考えて、判断し、結論を出し、実践してさらに確認をするということも求められます。ハゥトゥものの世界ではこれらの過程が跳んでしまいます。それなのに世の中はハゥトゥ社会一辺倒と思われる状態になっています。結論を急ぐ、読み書きそろばんの習慣がなくなった、メディアの発達で受け身で手に入る情報が最も大事だと勘違いしている…などがその理由として考えられますが、その根底には、そういう社会だという認識も薄いのが強く影響しているようです。IMG_1552
このようなことから考えて足利5S学校では、実践を主体にした「考働する人・集団」を育成したいと考えています。だから、午後には5S実践職場として募った事業体で実践指導をする指導も含まれています。今までの実績は1年で20人程度の受講修了者でしたが、1回目は8人/年の受講生だったのが、今季は2回/年 各15人の30名が受講と、希望者が確実に増えております。また、受講修了者たちに影響される人もいますので、確実にその効果は定着しつつあるようです。この程度の進みでは焼け石に水かとも気が遠くなるのですが、アリの一穴精神でゆっくりと確実に継続していきたいと思っています。