ジョウビタキ
うーん、今もって新しいな

今回は景気循環を迂回する①の後編であるドラッカー博「意思決定のための三つの手法」という見出しでそのための行動指針を教えてくれる。
今日、そのような手法は3つある。事業のマネジメントにとってはそのいずれもが役に立つ。第一の手法は、循環のいかなる段階にあるかを考えることなく、単に経済は常に変動するものであると仮定することである。過去の経験から想定される最も急激かつ最悪の状況を想定することによって、意思決定そのものを景気循環にかかわる推測から解放することである。この手法では、決定が正しかったかどうかはわからない。しかし、景気循環に伴う最悪のリスクを想定している。したがって、必要最小限の利益を知るうえでは最も重要な手法である。
ドラッカー博士は分かることは分かることとして、分からないことは分からないこととして、また出来ないことは出来ないこととして思考することを基本的な姿勢として教えてくれる。昨今の数値管理はその逆で、分からないものまで分かるように数値化を要求し、数値化して分かるのだから必達だよ、というような風潮が目立つ。過去の最悪の状況は分かる筈です。でもこれから来る景気変動はその振れの大きさ、いつ来ていつ終わるのか、さらにその時々の原因などは前もっては誰にも分かりません。その上で、分かる過去の最悪の状況を基準にして、分からない将来に備えなさい、と教えてくれるのです。多くの方が、景気の予想を、どうにかして分からないか…と探ります。その虚しさを教えてくれています。
 第二の方法は使い方は難しいが、より効果的である。それは、すでに起こってはいるが、経済への影響がまだ表れていない事象に基づいて意思決定を行うことである。この手法では、将来について予測する代わりに過去の事象しかし経済的には影響の現れていない事象に焦点を合わせる。すなわち、経済情勢について推測する代わりに、経済の底流になる事象を発見しようとする。人口構造の変化は、経済の底流の一つにすぎない。しかし、第二次世界大戦において、この人口構造の変化は、アメリカ経済にとって最も大きな要因の1つだった。ーー以下略ーー 何事も将来必ず起こるとはいえないということである。もし、必ず起こるとしてもそれがいつかはわからない。したがって、(第二の)底流分析を単独で行うことはできない。
それは第三の手法、すなわち予測に伴うリスクを小さくするための手法によって補わなければならない。今日アメリカでもっとも広く使われているための手法が、趨勢分析である。底流分析が、将来の事象についてなぜ、起こるのかを考えるのに対し、趨勢分析は、どの程度確実に、いつ起こるかを考える。趨勢分析は、例えば一世帯あたりの電力消費量や年収あたり生命保険料のような経済現象は、急激に、あるいは突然に変わることなく、長期的な趨勢をもつという前提に立つ。ーー中略ーーここに簡単に紹介した三つの手法は、それぞれの欠陥にもかかわらず限界を認識したうえで使うならば、マネジメントの決定を単なるカンから理性的な推測へと脱皮させるうえで大きな役割を果たす。これら、三つの手法は、少なくともマネジメントがいかなる予測の目標を設定したか、その予測が合理的なものであったか否かを明らかにする。そして、その予測がはずれたり、あるいははずれて起こったりした場合、いつ目標を見直すべきかを教える。

わたくしは、5Sをターゲットにしているので、3つの手法のうち第一番目の手法のみを自分の思考の対象にしています。1番目の今の目の前の力量が理解されずにいて、最悪の状況に備える…ということを理解できていない企業が沢山あります。特にそういう企業に対して5Sを適用していただきたいと思っています。たとえ、難しいことを考えることなしに5Sに飛び込んだとしても、1番目の手法を少しずつレベルアップすることができ、ある時点まで進むと1番目の最終レベルが理解できてそれに挑戦することも可能になります。そして、1番目のレベルに到達できればそれだけで景気変動の心配から相当、解放され、さらには2番目・3番目のテーマも理解できるだけでなく、挑戦できる力が身につきます。できることを確実にやる、できないことにも挑戦する…本論を、このような姿勢で景気循環に左右されにくい安全・安心の企業づくりに着手していだくための参考にしていただけたら幸いです。改めて、今から60年以上も前に発行された本の内容が、いまだに色あせていないことに驚きを禁じ得ません。